アジアデスクは皆さまを歓迎いたします

GILLE HRABALのアジアデスクは、中国・日本・韓国における豊富な経験と専門知識をもとに、各国出身の特許弁理士および現地語対応スタッフが、お客様のビジネス成功を力強くサポートします。

中国・日本・韓国を担当する専門チーム

アジアデスクは、中国・日本・韓国に関する知的財産案件の最初の窓口として、お客様を包括的に支援します。

それぞれの国の法制度、文化的背景、そしてビジネス慣習に精通した専門家が在籍しており、迅速かつ正確に対応します。

戦略的アドバイス、手続き面でのサポート、あるいは現地パートナーとの連携など、あらゆる場面でお客様のニーズに最適な解決策をご提案いたします。

小出輝(テル・コイデ)

外国業務マネージャー(日本)

日本特許庁での経験を活かし、特許、商標、意匠に関する日欧間の案件および戦略的助言を担当しています……

ユエ・ジン・ザウター

国際特許・商標アフェアーズマネージャー

中国を中心としたアジア地域の専門家として、クライアントおよび協力パートナーとの連携を支援しています……

ソ・ヨンソク

外国業務マネージャー(韓国)

韓国関連の特許、商標、意匠業務を担当し、文化的架け橋としてクライアントと協力パートナーを支援しています……

アジアでの知的財産保護 — 私たちの専門性がお客様の強みになります

GILLE HRABALは、長年にわたり中国・日本・韓国を中心とするアジア地域で多くの企業様の信頼を得てきました。

特許・商標・意匠などの知的財産権の取得、管理、保護を通じて、お客様の事業を支えています。

アジアデスクでは、各国出身の弁理士とスタッフが、言語や文化的な違いを深く理解したうえで、明確で実践的、かつ個別対応型のサービスを提供しています。

どの国の制度にも柔軟に対応し、お客様のグローバル戦略を知的財産の面から支援します。

ご相談の窓口が不明な場合でも、アジアデスクの担当者までお気軽にご連絡ください。迅速な対応と、最適な専門家によるサポートをお約束します。

また、欧州単一特許制度(UP制度)に関するご質問やご相談にも対応しております。アジアのお客様にも、欧州全体での一貫した知的財産戦略をご提案いたします。

ウェビナーに関するQ&Aのご案内

知財研セミナー / 2024年8月21日

知財研セミナー

2024年8月21日

欧州審査実務

記載要件・補正要件のエッセンス

~日本実務家の視点~

8/21(木)の知財研セミナーにご参加いただき誠にありがとうございました。本セミナーでいただいたご質問の回答を作成いたしました。もし何かご不明な点がございましたら、koide@dpat.deまでご連絡くださいませ。

 

質問1:Euro-PCT出願のEP移行時にEPC規則70(2)の通知を受ける権利を放棄した場合に、EESRの見解書が添付されないとの記事を別件で拝見しました。これはEESRへ応答する機会がなくなった上でOAが始まるという理解でよろしいのでしょうか。

はい、EESRへ応答する機会も放棄することになり、換わりに条約93条(3)の通知がなされます。基本的にはどちらも同じ拒絶理由の内容になるはずですが、仮に何らかの事情で審査請求を取り下げしようとした場合、70条(2)の通知の応答時であれば料金が一部戻ってくる点で異なります。EPC規則70(2)の通知を受ける権利を放棄するメリットとしては、条約93条(3)の通知への応答期間の違いなどにより、70条(2)の通知を受ける権利を放棄した方が若干早く審査結果を得られる傾向にあるといわれています。

質問2:欧州の大学等の非営利機関は、企業との共同研究契約書に、どのような知財条項を入れているかをご教示いただけないでしょうか(例えば、大学は企業と共同出願せず研究成果は大学の知財とする。大学が共同出願の場合は、大学側が知財活用をコントロールし持分に応じて収入を分配する。など)。

産学連携共同研究開発における知財条項は当然のことながらケースによって様々ですが、一般的には欧州ではLambert-toolkitと呼ばれるモデル条項がイギリス知財庁から公表されています。知財の割り当てに関する条項も含まれます。我が国の文科省が公表しているさくらツールの元となったモデルです。
https://www.gov.uk/guidance/university-and-business-collaboration-agreements-lambert-toolkit#model-research-collaboration-agreements

または数は少ないですが、欧州には産学連携研究開発の契約支援を行う知財法律事務所もございます。弊所提携の事務所でよろしければ、互いの目的や条件があえばご紹介することもできるかと存じます。もしご関心があれば、koide@dpat.deまでご連絡くださいませ。

質問3:T783/09のケースの好適記載はR1=NO2とR2=アルキルNH2がそれぞれよいと記載あったのか、それともその組み合わせがよいとのことだったのでしょうか?

本ケースでは、それぞれがよい事例として記載されていました。

事前質問1:日本のシフト補正、目的外補正等に該当するような補正の制限があるか。

EPC規則137条(5):日本のシフト補正に対応
補正クレームは,当初にクレームされていた発明又は単一の包括的発明概念を形成する一群の発明と関連していない未調査の主題を対象とすることができず,規則62a又は規則63に従って調査されていない主題を対象とすることもできない。

EPC第123条 (3):日本の減縮補正に対応
欧州特許は,保護を拡張するように補正してはならない。

事前質問2:誤訳訂正の成功率はどれほどか。

厳しい補正・訂正要件に比べ、EPOにおける誤訳訂正の要件はユーザーに対して非常に優しいです。日本語辞典、和英・英和辞典及び英英辞典などを用いて意見書にて丁寧に説明することが重要かと考えますが、それでも日本語明細書に基づく誤訳訂正は日本語を母国語とする私たちにとってハードルは高くありません。私個人的な経験での成功率は今のところ100%です。

事前質問3:図面からの補正の可能性(明細書に図面の詳細を記載していなく認められたケースは存在するのか、存在する場合はどのような補正だったのか)

プレゼンテーション資料でもお伝えしたとおり、図面に基づく補正は非常に厳しく、典型的には中間一般化に相当するとして拒絶されるケースが多いのでお勧めはいたしません。図面のみから導こうとする請求項の特徴が、図面に示された(かつ請求項に特定されていない)他の特徴から分離できるという根拠を説明する必要があります。
認められたケースは数は少ないですが、ご参考までに私が過去に調べた範囲では以下が見つかっています。もし拒絶理由に反論する場合はこれらを根拠として引用することも一案かと考えます。
T 169/83, T 523/88, T 748/91, T 191/93, T 398/92(厳密にはグラフに基づく補正), T2541/11
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t830169ep1
https://www.epo.org/de/boards-of-appeal/decisions/t880523du1
https://www.epo.org/de/boards-of-appeal/decisions/t910748du1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t930191eu1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t990568eu1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t112541eu1

事前質問4:クレームの数値範囲の減縮補正要件についてお伺いしたいです。
例えば、クレームに「A成分 30~60%」と規定されている場合において、下記①~③の補正の可否についてコメントを頂きたいです。
①明細書本文中に「A成分の含有量は30~60%であり、35~55%が好ましく、40~50%がより好ましい。」と記載されている場合に、「30~55%」や「35~50%」というように、上限のみを限定したり、上限と下限を異なるレベルで組み合わせたりする補正は、欧州のプラクティスでは基本的にNGと考えて宜しいでしょうか?(最近、審査官からそのような指摘を受けるケースが多いです)

ご指摘の事例では、通常は当該補正は認められます。プレゼンテーション資料の数値限定のパターン1に該当します。(過去T 925/98、T 249/12等の多数の審決で支持されています)

なお最近審査官からそのような指摘を受けるケースが多いとのことですが、確かに本数値限定の考え方はあくまでT審決によって支持されているものでG審決でないので、最終的には具体的な明細書の記載で結論が変わる可能性はゼロではありません。ただ私個人の経験上では、これまでこの事例で認められなかったことはありせんでした。
私が考えられるのは、例えば請求項にA成分だけでなくB成分など別のパラメータがあり、それらを同時に減縮する場合などは考え方が若干異なり、認められない場合があります。

いずれにしましても、このパターンで審査官から指摘を受ける原因について、十分な回答ができず申し訳ございません。もし具体的な出願番号をkoide@dpat.deまでお教えいただければ更なる分析をさせていただきます。

②明細書本文中に「A成分の含有量の下限は30%以上であり、35%以上が好ましく、40以上%がより好ましい。A成分の含有量の上限は60%以下であり、55%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。」というように、上限と下限を分けて記載していた場合も、①と同じ補正制限がかかるでしょうか?

この事例では、通常は当該補正は認められません。プレゼンテーション資料の数値限定のパターン3に該当します。

③実施例の値を用いて補正することは基本的にNGでしょうか?例えば、実施例にA成分42%のデータが記載されている場合に、「30~42%」と補正することはNGでしょうか?

実施例の値を根拠に用いること「のみ」をもってNGとはなりません。ただし、実施例からの抽出は中間一般化とされる恐れが高いのでお勧めはしません。
成功した事例として、ご参考までに私が過去に調べた範囲では以下が見つかっています。もし拒絶理由に反論する場合はこれらを根拠として引用することも一案かと考えます。
T 201/83, T 1556/16, T 876/06, T 1188/10
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t830201ep1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t161556eu1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t060876eu1
https://www.epo.org/en/boards-of-appeal/decisions/t101188eu1

事前質問5:日本の出願人が犯しやすい間違いとその対策を教えていただけるとありがたいです。

今回のセミナーはまさにご質問の点をテーマとしておりましたので、全体を通じて一定程度、日本の出願人にとっての課題とその対策をお伝えできたことを願っていますが、改めて項目出ししますと以下の点になります。

記載要件

ー異議申立における戦略:明確性が異議において取消理由とならない場合となる場合の違い
ー十分性の拒絶理由の対応策:パラメータ発明において欧州では日本より厳しく判断される点

補正要件
ーゴールドスタンダード:補正の根拠として「直接かつ一義的」であることが求められる点
ー異議における逃げ場のない罠:欧州では日本より厳しく判断される点
ー中間一般化:日本実務と運用が異なる点
ーチェリーピッキング:日本実務と運用が異なる点
ー数値限定:日本実務と運用が異なる点
ー図面に基づく補正:日本実務同様、欧州では厳しく判断される点

 

 

 

WIPO⽇本事務所ウェビナー / 2022年10月25日

WIPO⽇本事務所ウェビナー

2022年10月25日

欧州現地事務所から見たPCT欧州移行と欧州単一特許制度の戦略的活用

11/25のWIPOウェビナーにおきましては、多くの方にご視聴いただきまして感謝申し上げます。
また、多くのご質問をいただき誠にありがとうございました。時間の制約上、当日お答えできなかったご質問を含め回答を作成いたしましたので、ご参照くださいませ。
もしご不明な点等ございましたら、以下の発表者メールアドレスまでご遠慮なくご連絡くださいませ。
koide@dpat.de

 

また、本ウェビナーの発表資料は、以下WIPOウェビナーウェブサイトにて入手可能です。

https://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/ja/offices/japan/pdf/WIPO_GilleHrabal_20221025.pdf

 

なお回答中に出てくる、UPCA手続規則は統一特許裁判所で定められた規則です。以下、必要に応じてご参照くださいませ。
https://www.unified-patent-court.org/sites/default/files/rop_en_25_july_2022_final_consolidated_published_on_website_0.pdf

 

 頂いたご質問と回答

第I部 PCT欧州移行

質問1
PACE請求、審査促進などの制度について教えて欲しい。
(回答)発表資料P20でご説明したとおりです。

質問2
PACE請求には何らかの要件を満たす必要があるでしょうか。日本の早期審査は、外国関連出願かどうか、実施関連出願かどうか、などの要件が必要です。
(回答)PACE請求には基本的に要件はございませんが、出願人が応答期間の延長を行った場合はPACEの効果は取り消されます。

質問3
PCT早期国内移行+161/162条を放棄+PACE申請で20か月程度迅速化可能というが、そういう日本企業は多くあるのでしょうか。
(回答)出願人または出願によって対応は様々ですが、規則161/162条に係る権利については多くの場合放棄されています。

質問4
規則70通知の放棄が可能とのことですが、どの時点で放棄できるのか、放棄可能なタイミングについて教えてください。
(回答)欧州移行のタイミングで当該通知に係る権利の放棄を申告します。

質問5
Rules 161(2) & 162放棄手続きの期限はあるのでしょうか。移行時に選択するのでしょうか。
(回答)欧州移行のタイミングで当該通知に係る権利の放棄を申告します。

質問6
審査促進について、日本の特許権を基にして欧州でのPPHを検討しています。
現地代理人からは、PPHよりPACE請求の検討も提案されました。PPHは欧州において、早期権利化に効果的でないのでしょうか。
(回答)PPHもPACEと同様に早期権利化に効果があります。PACEの方が手続きが簡略という利点があります。一方PPHは手続書類の準備に、より手間がかかりますが、PACEが欧州特許庁内の施策であるのと異なり、PPHは国家間の取り決めに基づく施策ですので、その運用に対して、よりコミットされるという話もあります。

質問7
事業の方向性が定まるまでクレームを確定することができず、欧州での審査進行を遅延させたいが、方法はあるのでしょうか?
(回答)積極的に遅延を要請することはできませんが、発表資料の10ページに記載しましたとおり、何も審査迅速化手段を取らない場合、権利確定まで平均して優先日から6年以上かかるとされています。または出願の分割をするという手段も考えられます。

第II部 欧州単一特許制度

質問1
欧州単一特許制度が出来た場合は、各国への単独出願、欧州特許条約による出願、欧州単一特許への出願の3通りの出願方法が併存するのでしょうか。それとも、欧州特許条約による出願から欧州単一特許での出願に置き換わるでしょうか。
(回答)欧州特許条約による出願から欧州単一特許での出願に置き換わるということはありません。各国への単独出願、欧州特許条約による出願、欧州単一特許への出願の3通りの出願方法が並存することになります。

質問2
単一効特許と統一特許裁判所の現時点でのメリット、デメリットが知りたい。
(回答)発表資料36ページに懸念点、43ページ、44ページにメリットを記載しております。

質問3
単一効特許を選ぶか、従来通りの権利化を選ぶかを選択する上で、検討すべきポイントを教えてほしい。また、オプトアウトすべきか否かの検討ポイントを教えてほしい。
(回答)発表資料47、48ページに記載しております。

質問4
A.opt outの対象となる特許・特許出願を教えてほしい。サンライズ期間に係属している特許出願及び権利が存続している特許だけか?サンライズ期間経過後に欧州に特許出願、あるいはPCT出願の国内移行を行った場合、UPの7年間の経過期間終了時に特許出願が係属している、あるいは権利が存続していれば、opt outできるのでしょうか。

(回答)登録済み特許または経過期間満了前に出願された特許出願がオプトアウトの対象となります。

B.opt outの手続きはいつ行うことができるのですか?
(回答)オプトアウトの申請は、サンライズ期間開始(2023年1月)から経過措置期間の満了の1箇月前まで行えます。ただし、対象特許が裁判所に提訴されていないことが前提となります。なお、対象出願が公開された後に申請ができるようになります。

質問5
「そもそも欧州で無効審判を受けることがないから、欧州単一特許制度が始まったとしても、オプトアウトをする必要性を感じないし、わざわざお金を払ってまでオプトアウトはしない。」という考えのクライアントがいる。確かに納得する部分はあるものの、代理人として行うべき適切なアドバイスはあるか。
(回答)現状、多くの企業はオプトアウト申請行う見込みであると認識していますが、他方でご質問中のクライアントの考え方も場合によっては合理的な場合もあると考えます。オプトアウト申請には、代理人手数料や一定の作業が必要です。オプトアウトしないことにより発生するセントラルアタックなどのリスクの大小を考慮し、状況によってオプトアウトをしないというのも一つ方法だと考えます。

質問6
オプトアウト申請について、申請時点の真の所有者が申請すれば、欧州特許/国内特許登録原簿と一致している必要はない、とされています。ただ、申請者と登録原簿との齟齬がある場合、訴訟に入る段階で、UPCにてオプトアウト申請の有効性が争われる可能性もあるため、事前の名称・名義変更を行うことが望ましいとアドバイスしている欧州代理人が多いように思われる。
ただ、所有者の齟齬を問われても、きちんと証明が出来る場合、事前の名称・名義変更を行っていなくても、UPCで有効性を争われる事態になった際に、証拠を以て対応すれば、有効性が取り消される心配は無いと思われますが、この認識は合っているか(欧州特許異議申立期間、異議申立係争終了案件については、有効化した各国国内裁判所への名称・名義変更が必要になり負担が大きいため確認しておきたい)。
また、上記認識が正しいと断定できない場合等に備え、欧州特許異議申立期間、異議申立係争終了案件について、オプトアウト申請前に名称変更を行う場合、下記①②いずれの対応を取るべきか教えてほしい。
①オプトアウト申請時に名称変更の証拠書類を同時に申請しておけば、オプトアウト時にチェックはされなくても、訴訟時にオプトアウト有効性を争われることになった場合、その証拠書類を確認されるか。
②若しくは有効化している各国国内裁判所に対し手続を行っておく必要があるか。その場合、オプトアウトの不可分性に基づき、UPC協定加盟国に対しても行っておくべきか。

(回答)UPCA手続規則によれば、特許登録簿に登録されていない場合、各権利者又は出願人がとして本体登録される権利を有することの宣言を提出することが求められています。また、各国特許登録簿及び欧州特許庁が保管する欧州特許登録簿に表示された者が,所有者又は出願人として登録される権利を有する者であることを反証可能な推定とすることも規定されています。
したがいまして、もちろん各国特許登録簿及び欧州特許庁が保管する欧州特許登録簿において登録者の名称を変えておくことは、後に(訴訟開始時に)オプトアウトの有効性について疑義が呈された場合に優位に働くと考えますが、ご質問者のご指摘のように、権利の移転や譲渡を示す契約書など、できるだけ客観的な証拠を残しておく用意しておくことが、反証のためにより重要なことと認識しています。

質問7
EPOとUPCにおける特許無効化訴訟における手続きの違い(期限、結審までの予定、費用負担、補正可能性)について比較が知りたい。

(回答)特許を取り消すための手続きとして、欧州特許庁の異議申し立て制度と統一特許裁判所における無効訴訟を比較しますと、期限は異議申立は特許公報公告後9月以内であるのに対して、統一特許裁判所は単一効特許の存続期間中いつでも開始することができます。また、結審までの予定は、異議申立は15月、統一特許裁判所も14月という目標を立てられています。
費用に関しては、異議申立の庁費は840ユーロ、統一特許裁判所の無効訴訟の裁判所費用は20,000ユーロとなります。いずれも、これに代理人費用が加算されます。なお、統一特許裁判所の無効訴訟においては、敗訴者が、勝訴者の裁判所費用及び一定範囲の代理人費用を負担するという規定があります。補正はいずれの制度でもできます。

質問8
欧州単一特許は、欧州域内フェーズの選択肢を増やすものであり、日本の出願人がいわゆる国際段階としてPCTとパリルートのいずれを選択するかに直接影響を与えるものではないと考えられる。しかしながら、欧州単一特許を利用するにあたり、国際段階で注意すべき点(例、パリルートの方が好ましいなど)があれば、ご教示いただきたい。

(回答)ご理解のとおりです。単一効特許制度は国際段階を制約するものではなく、より選択の幅を増やすものと考えます。

質問9
単一特許システムの特許付与までのプロセスについて1つ質問です。異議申し立て期間についてもバンドル特許システムとまったく同様との理解でよいでしょうか。

(回答)そのとおりです。異議申し立て期間は、いずれの場合も、欧州特許公報の公告から9か月以内です。

質問10
オプトバックインは1回のみ可能でしょうか?

(回答)そのとおりです。(発表資料41ページ)

質問11
オプトアウトに必要な番号は、規則5の改定により、公開番号に規定されたのではないでしょうか。

(回答)UPCA手続規則の第5条3(c)には、オプトアウトをするための情報として、EP公開番号が含まれることが規定されています。

質問12
単一効特許の対象の中に含まれていないイギリスは、現状は欧州特許庁にて審査から登録まで行われていますが、いずれは欧州特許庁の枠組みから外れ、PCTからGBに直接移行が必要になるのでしょうか。

(回答)現在のところ、そのような予定はございません。今後もPCTから欧州移行した後、特許査定を得られれば、イギリスで有効化できます。

質問13
スライド43に「オランダでの権利行使」というお話がありました。この場合、単一効特許を取得するのではなく、オランダとどこかの主要国の特許のみを持つという事でも実現できそうですが、何か注意すべき点はございますでしょうか?
(回答)オランダの保護は、ご指摘のとおり単一効特許でなくとも、従来の欧州バンドル特許やオランダ特許でも可能です。注意すべき点としては、オランダを含めた有効化する国数によっては維持年金額が単一効特許取得に比べ、高額になることもございます。(発表資料33ページ)

質問14
UPC規則5条では、オプトアウト対象案件には「失効特許を含む」とありますが、どいういった場合が考えられるのか欧州代理人問合せたところ、「欧州特許が失効後、SPCを申請し保護期間に入っている案件が対象」ということでしたが、SPC案件のみが「オプトアウト対象になる失効特許」にあたるという解釈で合っているでしょうか。

(回答)はい、その理解のとおりです。

質問15
バンドル特許システムが無くなって統一特許制度に一本化される可能性はあるでしょうか?
(回答)現在のところ、そのような予定はございません。現状の法的枠組みでは、単一効特許にEU以外の国は今後も参加することができません。そのため、イギリスやスイス、ノルウェーなど非EU加盟国を保護する手段として、バンドル特許システムは今後も有用です(発表資料27ページ)。また(EU加盟国内のみの保護を前提としても)保護したい国数が少数で良い場合、単一効特許を取得すれば、より高額な維持年金を払う必要があるため、その意味でもバンドル特許システムは今後も利用価値はございます(発表資料33ページ)。

質問16
バンドル特許で権利化後、部分的に放棄して権利が一か国しか残っていない場合も、訴訟の予見性の観点からはオプトアウトした方が良いということになりますでしょうか。
(回答)この場合セントラルアタックのリスクは考慮する必要がありませんのでオプトアウトは確かに必要性は高いものではないと考えます。しかし、ご指摘のように新たに設立された統一特許裁判所の訴訟システムで争うことになれば、判断方法や手続きなど確立していないことも多く、当該訴訟システムで争うことを避けるためにオプトアウトを行うという考え方も十分あり得るかと考えます。

質問17
単一効特許と欧州バンドル特許の費用比較についてですが、年金のみでの比較でしょうか。または、移行時の代理人手数料、翻訳手数料を考慮した比較でしょうか。
(回答)発表資料33ページで示したものは年維持年金の庁費のみの比較になります。より厳密には、これ以外に、維持年金支払いのための代理人手数料、翻訳手数料、有効化時の庁費及び代理人手数料を考慮して比較する必要がございます。公表はしておりませんが、弊所手数料に基づき試算した結果が手元にございます。もしご興味がありましたら送付いたしますので、メールにて直接お連絡ください。(koide@dpat.de)

質問18
あとから批准された国で権利化したい場合、どのような手続きを行えばよいでしょうか。
(回答)残念ながら、単一効特許で登録したのち、あとから批准された国に権利範囲を拡張する手段はありません。登録時の批准国でその地理的権利範囲は固定されます。したがいまして、登録時に批准している国以外で権利が取りたい場合は、その国の特許庁にてバンドル特許制度に基づき個別に登録(有効化)する必要があります。(発表資料27ページ)
例えば、スペインで権利化されたいのであれば、バンドル特許にてスペインに個別登録(有効化)しなくていけません。
なお、個別登録(有効化)期間は、特許公報公告後3月以内のみということになります。ここを逃しますと、その後は新たな国に有効化する手段がなくなりますのでご注意くださいませ。(発表資料30ページ)

質問19
経過措置(経過期間)は、制度開始日(2023年4月)から7年間ということでしょうか。経過措置後は、オプトアウトが不可との理解でよろしいいでしょうか。
(回答)経過期間は、制度開始日(2023年4月)から7年間ですが、最大7年延長される可能性がございます。経過期間後は、オプトアウトができなくなります。

質問20
参考のためテキストは入手可能でしょうか。
(回答)本ウェビナーの発表資料は、WIPOウェビナーウェブサイトにて入手可能です。
https://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/ja/offices/japan/pdf/WIPO_GilleHrabal_20221025.pdf
また、関連する参考資料は、発表資料6ページに記載していますので、ご参照くださいませ。

質問21
オプトバックインの期限も経過期間終了まででしょうか。
(回答)そのとおりです。また、対象特許に対し訴訟が開始されていないことも条件となります。

質問22
無効アタックが起こる際に、そのときopt-out提出することができませんか。
(回答)オプトアウトの申請は、対象特許に対し訴訟が開始されていないことが時期的要件となります。したがいまして、無効訴訟が既に提訴された場合、オプトアウトは申請できません。

質問23
共有特許のオプトアウトには出願人全員の同意が必要ということだが、どのような形で同意の証明をするのか?同意書のようなものをEPOに提出するのか?
(回答)共有特許をオプトアウトするには、全ての権利者が共同で統一特許裁判所に申請する必要があります。後に当該オプトアウトの有効性が争われた場合に備え、例えば、オプトアウト(またはオプトイン)申請の合意を示す書類をあらかじめ作成しておくことが重要であると考えらられます。

質問24
各国に有効化した特許は他社に譲渡されているが、EP特許の権利者は元の権利者のままの場合に、オプトアウトできるのは元のEP特許の権利者でしょうか?
(回答)オプトアウトを申請できるのは真の権利者(ご質問における譲渡先の者)のみです。質問6もご参照ください。

質問25
出願中のもの、これから出願する予定のものは、いつオプトアウトの手続きをとるのがよいと考えるか?
(回答)出願中の案件は公開された時点からオプトアウトが申請できます。したがいまして、既にオプトアウトするか否かの方針が決まっているのであれば、公開後、登録前までに申請すればよろしいかと考えます。

質問26
オプトバックインが不可能となるケースがあると聞いていますが、どのような場合でしょうか。
(回答)オプトバックインは1回のみ可能であり、2度目はできせん。また、対象特許に対し訴訟が開始されていないことも条件となります。

質問27
経過期間終了後、バンドル特許を選択して数か国で権利化しても、訴訟について、統一裁判所に取扱うことになるでしょうか?
(回答)ご理解のとおりです。(発表資料40、41ページ)ただし、バンドル特許であって経過期間“中”にオプトアウト登録された特許は経過期間終了後もオプトアウトの効力は続きます。すなわち、当該特許は経過期間終了後も統一特許裁判所に係属することはありません。

質問28
オプトアウトは現地代理人を経ずに日本から手続することができるのでしょうか。
(回答)現地代理人を経ずに手続することの可否について、これまで統一特許裁判所が公的に言及したことはありませんが、UPCA手続規則の第5条3等に基づき、これが可能であると解する考え方もあるようです。いずれにしましても、オプトアウトを確実に行うためには、欧州代理人を介して申請をすることをお勧めします。

質問29
EP特許公報の発行の遅延申請、および、UP登録審査の事前申請、についても教えてください。
(回答)2つの特別措置をご説明します。
一つ目は、特許公報公告のタイミングが制度開始日以前となる見込みの出願について、申請により、特許公報公告のタイミングが制度開始以降に遅延させることができます。単一効特許申請の機会は、その特許公報公告が制度開始後となる出願にのみに与えられます。したがいまして、現在審査中の出願に関し、制度開始前に特許公報公告がなされれば、制度開始後、単一効を申請しようとしても単一効特許申請の機会は与えられません。しかし、欧州特許庁からの発表された特別措置では、ドイツ批准書寄託後であれば、EPC規則71(3)の通知を受け取った後、当該通知の応答時に特許公報公告を制度開始後まで遅らすことを請求することができます。これにより当該特許も単一効申請できることになります。
2つ目は、特許公報公告のタイミングが制度開始日以後となる見込みの出願について、制度開始以前であっても、事前に申請することが可能となります。

質問30
バンドル特許が、統一特許裁判で勝訴した場合、この判断は他のバンドル特許にも影響するでしょうか。それとも先の判断に拘束されず、再度の提訴等が十分考えられるでしょうか。
(回答)バンドル特許が、統一特許裁判で勝訴した場合、この判断は同じ欧州出願に基づく他国のバンドル特許にも同じように影響します。(発表資料37ページ)

質問31
クライアントは大学が多いです。大学のクライアントにオプトアウトを勧めた方がよいと思いますか?
(回答)状況にもよりますが、当面の間はオプトアウトをすることをお勧めします。新たに設立された統一特許裁判所の訴訟システムで争うことになれば、判断方法や手続きなど確立していないことも多く、一般的に知財担当のリソースが大企業に比べて少ない大学には負担になると思われます。ただしオプトアウトを申請するには通常代理人手数料がかかることもご留意いただく必要があります。

質問32
オプトアウトの欧州代理人費用はだいたいどのくらいになりそうでしょうか。
(回答)欧州事務所に直接問い合わせることをお勧めしますが、数十ユーロから300ユーロ程度となるという話があります。ただし、サンライズ期間中のオプトアウトなのかそれ以外なのか、などの条件に依るようです。

以上もしご質問漏れなどがございましたら、ご遠慮なくメールにてお問合せくださいませ。

 

 よくあるご質問

欧州単一特許パッケージ

Q:欧州単一特許パッケージとは何ですか?
欧州単一特許パッケージは、2つのEU規則と新しい協定で構成されており、2012年12月にEU議会と理事会で承認されました。
EU規則1257/12は、「単一効を有する欧州特許」(Unitary Patent)を創設するものです。
EU規則1260/12は、欧州単一効特許の翻訳に関する取り決めを定めたものです。
統一特許裁判所(UPC)協定(2013年1月11日付EU文書16351/12)は、従来の欧州バンドル特許と欧州単一効特許の両方について、参加国での訴訟のための統一特許裁判所制度を創設するものです。
また、統一特許裁判所協定の暫定適用に関する議定書(以下、PPA)は、13の加盟国がPPAを承認することを正式に通知した翌日の2022年1月19日に発効しました。同議定書は、裁判所が正式に訴訟受付を開始する前に、裁判官と職員を雇用し、その他実質的にすべての組織上の措置を取ることを認めています。

Q:これらのパッケージの関係は何ですか?
欧州単一効特許規則は、統一特許裁判所協定(UPCA)と同じ日に発効することが規定されています。

Q:このパッケージはEU全域で有効ですか?
このパッケージは、統一特許裁判所協定(UPCA)を批准している国のみに適用されます。例えば、スペインは自国語への翻訳が不要であることを主な理由としてこのパッケージを支持していません。そのため、EU条約の規定で、全会一致が達成できない場合に、EU加盟国の過半数の合意で進めることができる「強化された協力」に基づいて、パッケージは進められています。2021年12月1日現在、統一特許裁判所協定を批准している国は以下の16カ国である。オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロベニア、スウェーデンの16カ国、およびドイツ議会の両院は批准を承認しています。ドイツの批准のあと、約4ヶ月の期間が設けられた後に統一特許裁判所の開始されることになります。ドイツは、統一特許裁判所運営委員会がその期間内に開廷準備を完了できると判断するまで、批准の通知を保留する予定です。以下のEU7カ国はUPCAに署名しており、同協定を批准した後に参加することができます。キプロス、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、ルーマニア、スロバキア。ただし、英国はEUを離脱したため、本パッケージには参加することはありまえん。

Q:統一特許裁判所協定に署名・批准していないEU加盟国が、後から参加することは可能ですか?
はい。この可能性は、当初署名も批准もしなかった国や新規加盟国を含むすべてのEU加盟国に開かれています。欧州単一効特許と統一特許裁判所に最も異論を唱えていたスペインは、現在、加盟に向けて動き出しているようです。

Q:ノルウェー、スイス、トルコ、イギリスなどEU圏外のEPC加盟国は、統一特許裁判所や統一特許に参加できますか?
いいえ、現在の取り決めではできません。欧州単一効特許は、EUの規則によって、EU加盟国のみを対象として創設されるものである。
欧州連合司法裁判所(CJEU)は、2011年にEU以外の国が特許裁判所に参加することはEU条約に矛盾するとの判決を下しています。

Q:欧州単一特許パッケージの発効はいつ頃になりそうですか?
現在のところ2023年初頭と予測されます。ドイツが統一特許裁判所協定に批准してから約4ヵ月後に統一特許裁判所の開始がトリガーされると常に理解されています。

欧州単一効特許規則について

Q:欧州単一効特許規則とは何ですか?
2017年12月17日のEU規則第1257/12号で、欧州特許庁(EPO)が、13以上の参加EU諸国(統一特許裁判所にも参加する必要がある)に対して、欧州単一効特許(Unitary Patent)を発行できるようにする法令です。

Q:欧州単一効特許とは何ですか?
欧州で単一効力を有する特許のことです。欧州単一特許システムは、従来の国内特許システムや従来の欧州バンドル特許と共存することになります。出願人は、従来の欧州バンドル特許と欧州単一効特許の様々な組み合わせで有効にすることを選択できるようになります。

Q:EPOの役割は何ですか?
特許付与されるまでの審査過程では、EPOは現在と同じ役割を担います。発効日以降、出願人は、統一特許裁判所協定(UPCA)を批准しているEU加盟国のための欧州単一効特許を取得するか、それらの加盟国に対し有効化する従来の欧州バンドル特許として取得するかを選択することができるようになります。

Q:欧州単一効特許の出願方法は?
EPOに対し、従来の特許の出願を行います。別途、別の出願をする必要はありません。特許が付与される際に、欧州単一効特許を取得するか否かの判断がなされます。

Q:欧州単一効特許規則が発効する前にEPOに出願された出願への影響はありますか?
出願人は、少なくとも2007年3月1日以降に出願され、欧州単一特許制度が発効した時点で係属中の出願を、欧州単一効特許として有効化することができるようになります。

Q:特許が付与された後にEU諸国が欧州単一特許制度に批准した場合、すでに取得している欧州単一効特許の有効国にそのEU諸国を追加されますか?
いいえ。欧州単一効特許としての効力の範囲は、特許が付与された時点で決定されます。他のEU諸国やEU圏外のEPO加盟国での保護は、特許付与時に従来の欧州バンドル特許で有効化するか、別途国内特許出願をすることでしか得られません。

Q:欧州単一効特許の特許料は、従来の欧州バンドル特許と比較してどうなりますか?
特許料は従来の欧州バンドル特許で4~5か国程度を有効化する場合の特許料であると想定されます。

Q:コストを削減するために、数カ国のみで欧州単一効特許の有効化することはできますか?
いいえ。特許付与時に欧州単一効特許を選択した場合、その時点で批准しているすべてのEU加盟国が対象となり、それ以上でも以下にもなりません。

Q:欧州単一効特許を維持に保つために、各参加国に更新料を支払わなければならないのでしょうか?
いいえ。欧州単一効特許の年金は一括して、一度だけEPOに支払われます。

Q:年間維持費を削減するために、一部の国で欧州単一効特許の適用を取り消すことができますか?
いいえ。現在、一部のユーザーでは、年間維持費を節約するために、数年後に一部の国での特許の維持を停止していますが、欧州単一効特許を選択した場合は、このようなことはできなくなります。欧州単一効特許として登録させるか、それとも従来の欧州バンドル特許として各国に有効化させるかを決定する際に、この点が判断基準の一つになると思われます。

Q:欧州単一効特許の翻訳要件は何ですか?
最長12年の経過措置期間中は、欧州単一効特許の登録に際して翻訳が必要になります。
欧州特許庁での手続言語が英語の場合,特許権者は欧州特許を欧州連合の他の公用語に翻訳したものを提出しなければなりません。

Q:経過期間後の統一特許の翻訳規定とは?
移行期間終了後は、機械翻訳によるものに置き換わります。EPOは、Googleと共同開発した機械翻訳プログラム「Patent Translate」を立ち上げており、機械翻訳の精度が十分に高くなれば、出願人による翻訳は不要になると予想されています。

統一特許裁判所

Q:統一特許裁判所協定とは何ですか?
EU加盟国26カ国(ポーランドとスペインを除く)が、欧州特許の侵害と有効性に関する裁判を扱う統一特許裁判所(UPC)システムを構築するための協定です。

Q:統一特許裁判所の管轄はどうなりますか?
最終的には、統一特許裁判所は、参加国において、従来の欧州バンドル特許と欧州単一効特許の両方に関する訴訟の専属管轄権を持つことになります。しかし、7年間の移行期間中(場合によってはさらに長い期間)、従来の欧州バンドル特許の権利者は、統一特許裁判所管轄からオプトアウトし、国内裁判所の管轄を選択することができます。

Q:統一特許裁判所の主な構成は何ですか?
統一特許裁判所は、中央部、地方部、地域部を有する第一審裁判所と、控訴裁判所で構成されます。

Q:中央部とは何ですか?
第一審裁判所の一部門であり、欧州に居住していない当事者に対する裁判権も含め、全般的な裁判権を有します。中央部は、侵害と有効に関する決定を下すことができます。

Q:中央部はどこにあるのですか?
中央部の本部はパリにあります。ミュンヘンには、主に機械工学に関連する事件を扱うパートが置かれます。UPCAでは、中央部のロンドン支部が医療機器と医薬品に関する事件を扱うことを想定していましたが、英国がEUから離脱したため、パリとミュンヘンにのみ中央部を置くことが予定されています。

Q:地方部とは何ですか?
地方部は、要請に応じてEU締約国に設置されます。地方部は、中央部に代わって欧州特許侵害訴訟を処理する管轄権を持つことになります。訴訟は、実際に侵害が発生し、または発生するおそれがある加盟国、あるいは被告が居住する加盟国が主催する地方部に提起することができます。

Q:地域部とは何ですか?
地域部は、少なくとも2つの締約国の要請により設置することができます。地域部は、地方部と同様の管轄権を有します。

Q:地方部や地域部は、無効に関する事件についても判断することができますか?
被告が無効訴訟を提起した場合、地方部又は地域部は、(a)侵害訴訟と無効の反訴の両方を進める、(b)無効の反訴を中央部に判断を委ね、侵害訴訟を中断又は進める、(c)当事者の合意により、中央部に判断を委ねる、という裁量権を有します。

Q:統一特許裁判所ではどのような言語が使用されるのでしょうか。
UPCA第49条は第一審裁判所における手続の言語について規定しています。
中央部での裁判では、当該特許が付与された言語を使用します。
地方部または地域部では、その部に参加している締約国によって指定された1つまたは複数の公用語です。しかし,これらの国は,欧州特許庁の公用語(英語,フランス語又はドイツ語)のうち1つ又は複数を,その地方部又は地域部で使用するために指定することもできる。
地方部又は地域部の事件の当事者と管轄のパネルが合意すれば、特許が付与された言語を手続言語として使用することができます。
UPCA第50条は、控訴裁判所での訴訟の言語は、通常、第一審での訴訟の言語でなければならないと規定しています。しかし、当事者は、訴訟の言語として特許が付与された言語の使用について合意することができ、または当事者の合意により、控訴裁判所は訴訟の全部または一部について締約国の他の公用語を使用することを決定することができます。

Q:控訴裁判所はどこに置かれるのですか?
控訴裁判所はルクセンブルグに設置される予定です。

Q:欧州連合司法裁判所(CJEU)はどのような役割を果たすのですか?
統一特許裁判所は解釈を必要とするEU法の問題をCJEUに照会し、予備的な判断を仰ぐ権限を持つことになります。

Q:裁判官は誰になるのですか?
統一特許裁判所は、国際的に構成されたパネルで構成され、法律的な資格を持つ裁判官と技術的な資格を持つ裁判官で構成されるとになります。

 

ご連絡ください

* データ処理への同意

10 + 5 =